ハケンアニメ! あらすじ 感想
いよいよ発表されたか...。
大賞に選ばれればベストセラー化間違いなしと定評ある「2015年本屋大賞」のノミネート作品が...。
対象作品は、2013(平成25)年12月1日日曜日から2014(平成26)年11月30日日曜日までの間に刊行された日本のオリジナル小説。
その中から、全国の書店員が「面白かった」、「お客様にも薦めたい」、「自分の店で売りたい」と思った本を選んで投票したという。
今回発表された10作品は、2014(平成26)年11月1日土曜日から2015(平成27)年1月4日日曜日までの間実施された一次投票で、全国461書店、580人の書店員からの投票によっての選出。
ノミネート作品に対しての二次投票が行われるのは、同年3月1日日曜日まで。
「本屋大賞」に輝く作品の決定は、4月7日火曜日。
先日、そのノミネート作品の一つとして選ばれたのが、前年2014(平成26)年8月22日金曜日発売の辻村深月執筆の『ハケンアニメ!』(マガジンハウス)と知って、嬉しい気持ちに...。
それは、アニメ制作業界の現実そのものを、そこで働く3人の女性たちのそれぞれの微妙心理描写を、巧妙に魅せてくれたエンターテイメント小説で、なかなかの読み応え。
たしか、購入した当時は、2011(平成23)年6月20日月曜日発売の直木賞受賞作品の傑作ミステリー『太陽の坐る場所』(文藝春秋)の映画化が決定して、2014(平成26)年10月4日土曜日の公開の待ち遠しい中でのことだったかなあ。
理由としては、当時の辻村深月の最新作としての関心も一つだけど、題名に象徴される"ハケン"と"アニメ"といった業界そのものに、何気に惹かれたことも大きくて...。
失礼ながら、アニメというと子どもたちだけの楽しみといった思い込みらしきものが、心の片隅にあって、アニメを制作している大人たちはどこにいるんだろうといった漫然とした思いがあったものだから、ついつい衝動買いしてしまったのが、正直なところ。
物語のあらましは、プロデューサーの有科香屋子が渾身の願いを込めて口説いた作品として、伝説の天才アニメ監督・王子千晴が9年ぶりに挑む『運命戦線リデルライト』のオンエアを控えた時のこと、監督の突然の蒸発らしき騒ぎによる周囲の困惑から始まって...。
同じクールには、期待の新人監督・斎藤瞳と次々にヒットを飛ばすプロデューサー・行城理が組む『サウンドバック 奏の石』のオンエアも...。
そこへ、ネットで話題のアニメーター・並澤和奈や、聖地巡礼で観光の活性化を期待する公務員・宗森周平も、関わり始めることにもなって……。
以後、次から次へと謎を呼び新たな事件が相次ぐことになって...。
いわゆる"ハケン"の立場にある3人の女性が、最終的にいかなる決断を下すのか?
その点で、目が離せなかった。
肝心要は、幼少の頃からの"好き"を仕事にできる"遊び心"なんだなあと、改めて実感。
たしかに、仕事はもともと大変で振り回す人も多いゆえ、つらさを多く実感してしまうもの。
それでも、アニメが好きで仕事が好きな主人公たちは、微妙な心理の描写を伴いながら物語を展開していることも加わって、素直にカッコいいし素晴らしかった。
しかも、読み終えた後、遅まきながらの"気づき"(?)が....。
"ハケン"とは、上層部から割り振られた仕事に沿って動かされる"派遣"から、自らの力で運命を切り拓いて仕事として作り上げて周囲を動かす"覇権"へと上り詰める才覚を秘めている、ということを...。
かなり大袈裟かもしれないや。
いずれにせよ、ノミネートされてもされなくても、自分の手で「本屋大賞」として推薦したい作品にめぐり逢えたことだけは、嬉しかった。
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