軍師官兵衛 感想 DVD Blu-ray
2015(平成27)年に入っても、岡田准一の気になる今日この頃のこと...。
「人の命はいかすためにある」
2014(平成26)年放送のNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』で岡田准一演じる主人公・黒田官兵衛の口にしたこの言葉の重みの実感のますます強まる中で...。
「いかす」には二つの漢字が...。
一つ目は「生かす」。
人間はどんなことがあっても生きることを諦めてはいけない、ということ。
二つ目は「活かす」。
生きることも大切だけど、それだけでは面白くない。 自分を活かすために考え、行動することが大切なのだ、ということ。
本放送との並行でDVD/Blu-ray発売以来じっくりと鑑賞し続けて、第参集の発売される、2015(平成27)年3月18日水曜日以降で、一通り観終えることになるのか...。
本放送後半に入って日の浅い2014(平成26)年8月29日金曜日に発売した第壱集は、播磨国のささやかな目薬屋の家の生まれの黒田官兵衛(岡田准一/若山耀人)の幼少時代を経て元服まで描かれた第1回から始まって、木下藤吉郎のちの豊臣秀吉(竹中直人)との運命的出逢い、官兵衛の嫡男・松寿丸(若山耀人=二役)が天下人・織田信長(江口洋介)の人質となるまでを描いた第12回まで。
まず、大きな戦国大河では隅っこの存在でしかなかった人々を丹念に描いたことが幸いしたからか、これまでの戦国大河では脇役だった官兵衛が、本放送では主役として堂々とした姿勢を保てるにふさわしい脚本に敬服させられたことに尽きるかなあ。
特に、松寿丸が信長の人質となる前後の経緯における人間模様、中でも母・光(中谷美紀)の涙には、泣かされてしまった。
本放送最終回に近い2014(平成26)年11月28日金曜日に発売された第弐集は、まさに激動の流れ、見応え満点だった。
ここでは、ドラマに求めがちな希望的観測を排除した描写の中での、個々の役者の演技力の突出が印象的だった。
特に、軍師の役割にありながら若さに任せて突っ走る勢いの強かった官兵衛が、有岡城幽閉を経て、軍師特有の冷徹さの目立つようになった変化、そして秀吉の天下取りへの後押しに伴う中国大返し敢行、忘れられなかった。
そもそもの始まりは、織田方と毛利方との狭間に揺れる主君・小寺氏職(片岡鶴太郎)に翻弄される播磨国しと周辺の動向から...。
旅先の出逢いで親交を持つようになった荒木村重(田中哲司)の存在感の強烈さ、すなわち一介の浪人から身起こして摂津国主に上り詰めるも、自身の失策ゆえの信長への恐怖心からの謀反で説得に来た官兵衛の有岡城幽閉までの鬼気迫る表情の変化。
1年後の陥落による官兵衛救出そして黒田家家臣団と家族との再会。
人質から解放された松寿丸改め黒田長政(松坂桃李)の初陣。
高松城水攻めと本能寺の変での信長謀殺と謀反人・明智光秀(春風亭小朝)討伐のための中国大返し。
信長後継をめぐる清須会議、その後の秀吉と柴田勝家(近藤芳正)の賤ヶ岳の戦いが終わるまで...。
そして、集大成となる第参集は...。
結果として、残念ながら前半に時間をかけすぎた反動からか、戦の展開が速すぎる流れになってしまったのが、心残りになってしまったかなあ。
それでも、終盤の九州平定を経て、関ヶ原の戦いの勝者に決戦を挑もうとする、如水の勢いは圧巻。 その要所要所における過程も要点を突くかのように描写されていただけでも、満足といったところ。
官兵衛の父・職隆(柴田恭兵)の永眠から始まって、九州出陣、新天地・中津での試練と"城井谷の悲劇"での長政の非情な決断。
秀吉の天下統一。朝鮮出兵と秀次事件と黒田如水誕生。
秀吉の死と天下分け目の関ヶ原の戦いに乗じた九州平定に向けての大勝負。
そして如水永眠へ...。
贅沢を口にすれば、最終回は1時間半近くはほしかったかなあ。
やはり、製作費と視聴率の兼ね合いの問題が尾を引いていた???
それでも、"骨太大河"であることと、陸の孤島同然の中で生き抜く術を求められる、それぞれの人間模様は、決して見逃せなかった。
機会あったら、もう一度鑑賞してみたいくらい。
ここ数年の間に定着しつつある"ホームドラマ大河"から一転して"骨太大河"となったのは、2007(平成19)年放送のNHK大河ドラマ『風林火山』以来かなあ。
こうでなきゃ。
最後に改めて、黒田官兵衛の言葉
「人の命はいかすためにある」
決して忘れない。
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