園子温 情熱大陸 非道に生きる けもの道を笑って歩け
これを手掛けている時点では、2015(平成27)年5月30日月曜日に公開される映画『新宿スワン』が待ち遠しい日々の続いていて...。
とにかく、映画監督、脚本家、詩人、パフォーマー、といった顔を持つ、園子温の鬼才ぶりが、否応なく気になってしまう。
やはり、前年2014(平成26)年6月15日日曜日放送のTBS系ドキュメンタリー番組『情熱大陸』を観終えた時の余韻が、かなり尾を引いているんだろうなあ。
先日、書店で何気に目にするなり、つい購入してしまった。
2012(平成24)年10月発売の『非道に生きる』(朝日出版社)と、2013(平成25)年9月発売の『けもの道を笑って歩け』(ぱる出版)を、立て続けに読み終えることとなって...。
鬼才・毒舌、破廉恥、社会派...。さまざまな異名を持つ映画監督・園子温の創作哲学か...。
あの「ジーパンをはいた朔太郎」としての17歳の詩人から始まって、1990年代のインディーズ系映画界の席巻。
2001(平成13)年以降に、メジャー映画会社とも手を結んでから、大きく飛躍することに...。
海外から先に評価されることになるとは...。
2005(平成17)年公開の映画『Strange Circus 奇妙なサーカス』では、第56回ベルリン国際映画祭フォーラム部門にて観客の人気投票によって選ばれる「ベルリン新聞・読者審査賞」(The "Berliner Zeitung" Reader's Jury Award)を受賞。
カナダのモントリオールで開催されたファンタジア映画祭'06でも、作品賞と主演女優賞(宮崎ますみ)が受賞。
2006(平成18)年公開の吉高由里子初出演の映画『紀子の食卓』では、第40回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭の特別表彰と国際シネマクラブ連盟ドンキホーテ賞を受賞。
2008(平成20)年公開の映画『愛のむきだし』は、満島ひかりの出世作となり、ベルリン国際映画祭にて、「国際批評家連盟賞」「カリガリ賞」を受賞。
2013(平成25)年公開の映画『地獄でなぜ悪い』では、二階堂ふみが光っていたかなあ。
第38回トロント国際映画祭 ミッドナイト・マッドネス部門の観客賞を受賞するまでに。
今や映画ファンや批評家から“次回作が最も期待される映画監督”と評される園子温は、見る者の心をざわつかせ、大きく揺さぶってくれる。
園子温という名前は本名。
1961(昭和36)年12月18日生まれ、愛知県豊川市出身。
愛知県立豊橋東高等学校卒業で、法政大学文学部中退。
先日読み終えたかの2冊の単行本のように、その「強烈で個性的な半生」は俄かには信じられない内容そのもので...。
本人の映画同様、まさに「むきだし」のドキュメンタリーだった。
人間のありのままについて、振り返ってみれば、他人には黒く見えるカラスが、自分には白く見えてしまう。
実は日常的に我々が「ほんとうらしく見えるもの」の「嘘」に気づきながら、「損得」を考え、自分自身を「安全地帯」に置かんがために打算的に生きている。
厄介なのは「善悪」の中に「ありえない添加物」が混入していても指摘する勇気を持てず、「強者の物差し(長いものには巻かれろ)」が正しいと支持してはばからない。
「嘘」だと気づいている「自分」さえ、ごまかせるほど、感性が錆びついてしまっている。
時として「狂気」の中にしか、「真実」の姿は提示されないのかも知れない。
ふとしたことで間違えてしまう恐れのある人間である以上、下手をすれば道を踏み外して、取り返しのつかないことも、あり得るかもしれない???
日々の仕事に忙殺されがちなほど、一息つける時を見計らって、今後のための自戒の意味合いから、改めて目を通すのがふさわしいだろうなあ。
園子温と自分自身に想いを馳せながら、
それぞれが"情熱大陸"を歩き、
"非道に生きる"とまではできなくても、
"けもの道を笑って歩け"るかのような気持ち、
決して忘れたくない。
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